らいおんの瓶の中

手紙を海に流すように、いろいろな感想とか。

君が絶対好きだと言うからさ

OKOTOKO(西沢さんP)のアルバム『23時のエトセトラ』の1曲目、「映画を見に行くよ」が、とても好きだ。

動画では上がっていないけど、このトレーラーでちょっとだけ聴けるから聴いてほしい(本当はアルバムを買ってぜんぶ聴いてほしい)。

 

youtu.be

映画を見に行くよ
君が絶対好きだと言うからさ

 

何かを見かけたとき、ああ、あのひとが好きそうだな、と思う瞬間が好きだ。

自分の好きなものを誰かに、あるいは一人でも多くのひとに知ってほしいのとはまた違う。

そのひとに向けた関心や時間が、少しずつ塗り重ねられていく油彩画のように、自分とは別の感性という像を結ぶ。それって広い意味で愛だと思う。

(だからわたしは、何が好きか、どういうところが好きなのか、教えてもらうのが好きだ)

そして、あなたが好きそうだと思った、と言われると、同じ理由で嬉しくなる。

この歌の「君」は、語り手の好きなものを知っている。どういうものを好きになるのか、想像できるくらい、語り手のことを知っている。映画を見て語り手のことを思い浮かべるくらい、語り手に心を向けている。良いなあと思う。

次に会えた時には今日の話がしたい

この絶妙な距離感!

次に「君」と会うのがどれくらい先のことなのか、それがどれくらい確かに起こりえることなのかはわからない。たぶん、毎日顔を合わせるところにはいない。

だからこそ、「次に会えた時には」という期待が、「今日の話がしたい」という希望が、「物憂げな」心に明かりを灯す。「君」の「絶対好き」という言葉が、「映画を見に行く」という行為を、「週末」のはじまりをさらに色づける。

 

……とまあ、この曲自体もとっても好きなんですが、これはまだアルバムの一曲目。レイトショーはこれから。

ブザーが響く。

新しい世界の幕が上がる。

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