らいおんの瓶の中

手紙を海に流すように、いろいろな感想とか。

公開シンポジウム 「AI時代における哲学・美学・倫理学・宗教学」

2023年11月25日(土)13:30~17:00、オンライン開催

主催:日本学術会議哲学委員会
共催:日本哲学系諸学会連合、日本宗教研究諸学会連合

jfssr.jp

司会 中村征樹
開会挨拶 吉水千鶴子
報告1 上田修功「AIにおける公平性」
報告2 伊藤亜紗「AI時代の自律と依存」
報告3 藤原聖子「AI時代の宗教と宗教学」
報告4 佐久間洋司「人工知能とバーチャルビーイング
コメント 戸田山和久・成田玲央奈
閉会挨拶 吉岡洋

 

戸田山和久先生のゴメント〔ママ〕がおもしろかった(戸田山先生の本業ちゃんと学んでいないんですが、高校から大学までNHK出版『論文の教室』*1でやってきたから知ってる先生みたいな気分でいる……)。
AIについての、というよりわがこととして。

「AIを飼い慣らす」という発想に対して「『飼い慣らす』とは最も巧妙かつ卑劣な支配のやり方ではないか」「共依存とは支配しあう関係ではないか」とゴメントされていて、うう……最近『星の王子さま』を部分的に読みかえして、狐の話にうん、そうだよね、と思いつつ、どうして「apprivoiser(飼いならす)」という言葉を選んだんだろう、と思っていたところだっただけに*2

悪しき相互依存に陥らないためにはどうすればいいのか、という問いかけへの、伊藤亜紗さんの「(AIについてというよりは一般論として)依存先を複数化することでは」という応答も、正しいなあと思いつつ、そして王子さまにとって狐も語り手も大事な友だちになったのも確かなんだけど、でも身体を置いてまで薔薇のために自分の星に帰っていったんだよなあとも思いつつ……。

 

www.iwanami.co.jp

*1:わたしが読んでいるのは2012年刊行の新版ですが。

*2:綴りを確認しようと思ってぐぐったらこの記事がヒットして、狐が「野生の狐」というキャラクターだったからなのかなあとやや納得した。

中村寿司「翻訳大国からの断想:『星の王子さま』の“apprivoiser”をめぐって」、北海学園大学附属図書館(2008)『図書館だより : 北海学園大学附属図書館報』第30巻2号(通巻186号)
https://library.hgu.jp/pdf/tosho_30_2.pdf