らいおんの瓶の中

手紙を海に流すように、いろいろな感想とか。

「文豪たちと新潮社」展

「文豪とアルケミスト」×新潮社コラボの「文豪たちと新潮社」展、行ってきました。

https://www.shinchosha.co.jp/news/article/759/

事前予約・完全入れ替え制でしたが、結局当日券も出ていたのかな?
各展示ケースの前に1、2人くらいのちょうどいい人数で、ゆったりじっくり見られました。
時間も、全ての展示物にきちんと目を通してちょうどいいくらい。

会場内には太宰くんと二葉亭先生の等身大パネル(撮影可)があったほか、それぞれの文豪を紹介するキャプションの隣に文アルキャラの顔パネルが並べてありました。
島崎会長の顔パネルと「新生」事件についてのキャプションを思わず見比べたり、石川先生と白先生の顔を交互に眺めたりしてしまった。
白秋と啄木との交流について説明してあったんだけど、啄木が悪友で……。


主な展示物は直筆原稿とその作品が載った初出誌や初版本、書簡、葉書。
こうして並べて見ると、人それぞれ原稿用紙も筆記具も字も違うのはもちろんだけど、時と場合によって同じ人でも全然違う字を書くなあと。
漱石佐藤春夫の使っていた原稿用紙は、特に華やかでした。好みに合った原稿用紙に書くと、テンションが上がって筆も進みそう。

有島武郎の筆跡が、原稿は楷書で読みやすく書いてあるのに、書簡が達筆すぎて名前しか読み取れなかった……。
あと平仮名は崩し字で書く人が多くて、「に」と「は」、「か」、「た」と「と」と「つ」と「て」あたりの区別は、特に藤村の「ある女の生涯」を読みながら実地で学んだ感じ……。
崩し字を読めるようになりたい。春になったら勉強しよう。
谷崎の筆跡がおおらかで黒々としていたのが、何となく意外で印象的でした。わりとかわいいというか、親しみやすい字だった。

太宰治の「斜陽」の原稿、タイトルと筆名が複数の行にまたがって大きく綺麗な字で書いてあって、その大きさに勝手に気負いを感じていました。
当人からすれば見当外れの感慨かもしれないけどね。

二葉亭四迷の「其面影」の原稿は、たぶん筆で書かれたもので、鉤括弧が出てくる文章も筆で書いたのか……と、何となくちょっとおもしろくなってしまった。

推敲するときの線の引き方も当然文豪それぞれで、元の字がはっきり読める程度のを見ては「鏡花さんが怒りそうだなー」などと思っていた。
文字を神聖視していた泉鏡花は、原稿の書き損じや訂正箇所は絶対元の字の形がわからなくなるように黒々と塗りつぶしていたという話を思い出して。


漱石が教え子に、色々言い訳しながらたくさん絵葉書を出してるのを見て、わたしも、これからも下手くそな絵を衆目に晒しつづけていこうとおもいました。
これが最大の感想かな!


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