らいおんの瓶の中

手紙を海に流すように、いろいろな感想とか。

〈花丸〉の花、安定の桜

映画「刀剣乱舞-花丸- 幕間回想録」

アニメ自体は毎週リアタイしていたのですが、今回、総集編という形で再構成されたものを観たことで、桜がきちんとモチーフとして機能していたんだなあってようやく納得しました。というわけでそのことをつらつら。

http://touken-hanamaru.jp/movie/

アニメ視聴時は刀かわいさに脳がとろけていたのと、先行上映で一話を観たとき、ああいう感じで毎回誰かが「桜/花=誉」を貰うのかなと思っていたら二話以降全然そんな流れはなかったので、当てが外れてあんまり考えなくなっていたのでした。

私自身のいちばんの愛刀は大和守安定なので見方に偏りはあると思いますが、一応ここではうちのやすさだではなく花丸の安定について書いているつもり。


「花丸」は「花のある本丸の、花丸な日々の物語」がテーマで、この本丸(=〈花丸〉)にある花とは万葉桜、つまり桜のこと。
第一話で顕現した安定は、出陣前の清光との会話からもわかるとおり、まだ「沖田くんの刀」でしかない。
それが、審神者から預かった御守を持って、〈花丸〉の刀たちと一緒に初陣を終えて、正式に〈花丸〉の一員になる。
その証として、初期刀の清光から安定に、桜のピンを贈られる。

そして、遠征で山茱萸を採ってくる回で、陸奥守の熊に対する語りかけや、審神者を心配する刀たちの姿を見て「主なんだ!」と叫ぶ瞬間、新撰組の羽織の上に桜の花びらが舞い落ちるイメージが提示される。
このとき、素直な安定自身の気持ちとして、沖田くんへの執着よりも〈花丸〉の今の主を優先しようとする方向性がはっきりしたんだろう。

二度目の池田屋出陣のとき、安定は、〈花丸〉の刀として桜のピンを身につける。
だけど安定にとって沖田くんは、自分自身の拠りどころとなる存在で、沖田くんの危機を前にすればどうしたって安定も揺らいでしまう。
その瞬間、桜のピンが壊れて取れてしまうことで、〈花丸〉の安定は一時的に失われてしまう。そして安定が〈花丸〉の安定に戻るためには、桜=花を取り戻す必要があった。

二期キービジュアルの清光が桜ピンを胸許に挿しているのは、清光こそが、安定の帰ってくるべき「花丸な場所」だからなのかな……というのは、そう思いたいだけかもしれないけど。
でも、安定に桜を与えたのは清光で、二度目の出陣のときも清光と離れてひとりになってしまったから一度桜を失いかけて、でも清光の手で戻ってきたわけで。

じゃあ、万葉桜が〈花丸〉の象徴だとしたら、みんなが万葉桜に願いを託すのはどういう意味になるのだろう。
二度目の池田屋出陣の前、長谷部は「主はこの本丸の皆のことを常に見ておられる」と言う。清光が安定の決意を確かめるのも、万葉桜の前だ。
本丸からは常に万葉桜が見えている、ということは、万葉桜からは常にこの本丸が、本丸の刀たちの様子が見えているということ。
すなわち、万葉桜は〈花丸〉そのものだけでなく、〈花丸〉の審神者でもあるのではないか。
そして、(ここまでは便宜上「万葉桜」と書いたけれど)第十一話で再びこの木が蕾をつけたため、最初に万葉桜ではないかと言っていた鶯丸がこう呟く。
「万葉桜かと思っていたが……それもわからなくなった」
万葉桜は「一万年に一度だけ花を咲かせ、その花を見た者は何でも願いが叶うと言われている」。
〈花丸〉のこの木は、万葉桜ではないのかもしれない。だとしたら、何でも願いを叶えることなどできない。それでも〈花丸〉の刀たちを願いを受け止めている。
それがこの本丸の審神者、彼らが主と認めるひとの姿なんじゃないだろうか。

第十二話の、安定が沖田くんと訣別する瞬間も、万葉桜は見守っていた。


追記
ライブビューイングで舞台挨拶も見てきたので、その覚書も。
すでに色々忘れてしまっていますが……

・樽さんと市来さん仲良しだし花江さんと増田さん仲良しだし、全体的に和やかで花丸でした
・司会の、と言うところで毎回「主お世話係……ではなく」と言ってくれる樽さんのサービス精神
・花江さんがゆるふわでかわいかったです
「弟の……えーと、何だったかな、彼が今日はいないからね」
「良い天気になってよかったねえ」
・沖田組の仲について話す沖田組の中の人たち
・キービジュを見た市来さん「蛍丸!!」
・市来さん「一期の安定はみんなに心配をかけて助けられていたので、みんなを助けるようなところが見たい」