中島みどり[訳]、1992(原著1988)
美しい恋愛小説として、そして共産主義体制が確立されていくなかでの知識人小説として、ユーモアを含んだ冷静な作品ながら次へ次へとひきこむ力をもち、訳文も平明で味わい深く、大変おもしろかったです。
また作品の読みごたえはもちろんのこと、訳者あとがきも、作品論と作家論をふまえた近代中国の簡潔な知識人研究として興味深かったです。
個人的な読書の手引きとして、この小説の登場人物一覧と用語集を作成しました。
ここでは用語集として、ふつうに日本語の辞典なり中日辞典なりを引いても出てきにくい語、読みが難しいと感じた語や、引用の典拠をまとめています。
「?」とあるのはわからなかったものです。
それ以外の箇所でも、誤りがあればぜひご指摘をお願いします。
※小説自体の原文は参照できておらず、邦訳から推測した意味や典拠を載せています
※このブログを書いたひとは中国語が全く読めません。高卒程度の漢文知識(それもうろ覚え)しかないです。内容の正確性・網羅性は一切保証できません。個人的な読書の手引き程度にご活用ください
※参考資料とする場合、このブログ記事だけではなく、必ず信頼できる辞事典や一次資料を参照してください(あえて書くまでもありませんが)
〈主に参照したもの〉
・各種辞典
・维基文库(Wikisource)
https://zh.wikisource.org/wiki/Wikisource:%E9%A6%96%E9%A1%B5
・中國哲學書電子化計劃
https://ctext.org/zh
〈凡例〉
本文中の語(本文中のルビ)〔本文中の訳注〕
→解説
漢字は全て現在の日本で用いられている字体にしました。
第一部
第1章
p. 10
学は中西を貫き
→「学貫中西」
中国の学問にも西洋の学問にも精通する
旧学
→西洋近代文化の影響を受ける前の、中国固有の伝統的な学術
p. 13
鉄雄鶏(けちんぼう)
→?
p. 14
定心丸(ちんせいざい)
→精神を安定させる漢方薬、(比喩的に)気休めの言葉
月下氷人(なこうど)
→げっかひょうじん
月下の老人と氷上の人の意で、婚姻の媒酌人のこと。『晋書』芸術伝による。
p. 15
願わくは鴛鴦と作りて仙を羨まざらん
→「願作鴛鴦不羨仙」
初唐の詩人・盧昭隣による『長安古意』の一節。「鴛鴦」はオシドリのこと。オシドリのような仲睦まじい夫婦になれるなら神仙も羨ましくはない、の意。
p. 16
「雲古はしないが雪隠はあけぬ」主義
→?
p. 17
伉儷(ごふさい)
→こうれい。(「伉」も「儷」も並ぶ、つれあいの意)夫婦。つれあい。また、夫婦関係。夫婦の仲。
第2章
p. 23
第3章
p. 29
皇天は苦心の人を欺かぬ
→?
第4章
p. 33
『標準美人』
→この「標準」のニュアンスがわからない
校花
→(清末~中華人民共和国成立以前の旧社会の言葉)ミスキャンパス、学園の花
p. 34
ガルボ式〔グレタ・ガルボ〕
→ハリウッド女優(1905-1990)。ハリウッドのサイレント映画~トーキー映画初期の伝説的スターとのこと。
林黛玉
→りんたいぎょく。『紅楼夢』のヒロイン。
p. 38
無電
→「無線電信」「無線電話」の略。
第5章
p. 40
金看板
→きんかんばん。① 金文字を彫りこんだ看板。② 世間に誇らしげに示す主義や思想、または、その世界や組織などで筆頭に挙げられる人や物など。③ いつわりがなく確実なこと。信用できること。
p. 43
気息
→きそく。① いき。いきづかい。呼吸。② 気持。気質。
第6章
p. 48
「寒金冷水」の運勢
→?
p. 52
釣りがき
→釣書
縁談(お見合い)の時にお互いで取り交わすプロフィールを載せた書面
第9章
p. 82
翳
→①さしは(鷹の羽や薄絹などで作った長い柄の団扇で、外出する貴人に従者がさしかけて顔をおおうもの)②かげ(=影)
第10章
p. 86
糖衣弾
→糖衣炮弾((相手を抱き込むための賄賂などの手段をたとえて)糖衣を着せた砲弾。糖弾とも)のことか。
p. 87
賢内助(おくさん)
→賢妻、賢夫人
第11章
p. 96
睦隣(となりとなかよく)
→ぼくりん。四隣(① 前後左右の家や人。②隣り合った周囲の国々。)の国と親しむ。
p. 96
八仙卓(はちにんようテーブル)
→八仙卓子か。1辺に2人ずつ座る8人がけの方卓(清朝以前は、正式の宴席では円卓を用いなかった)
p. 98
黯淡
→あんたん。うす暗い。
『淡装濃抹総て相い宜し』
→「淡粧濃抹総相宜」
蘇軾が西施(中国四大美女の1人)と西湖の美しさを比べて評した詩「飲湖上初晴後雨」の一節(「装」は「粧」の誤植か?)
※淡粧濃抹(日本の熟語)は美しい女性の容貌や装いのこと。「淡粧」は薄い化粧、「濃抹」は濃い化粧で、どちらも趣があって美しいということ。
往昔(きのう)
→おうせき、おうじゃく。過ぎ去った昔。いにしえ。往古。
p. 99
『鉛華淡淡として妝成る』
→「鉛華淡淡妝成」
司馬光が薄化粧の踊り子への恋をうたった(らしい)詩「西江月」の一節。鉛華はおしろい、妝はよそおい。
『画眉の深浅、時に入るや無や?』いやいや、『笑うて夫婿に問』わるるまでもない
→「妝罷低声問夫婿/画眉深浅入時無」
朱慶余の詩「画眉深浅入時無」の一節。義理の両親に自分の恰好が気に入ってもらえるか不安になっている新婦が、夫に対して、眉のメイクが大丈夫か訊いているくだり(と思われる)。
第12章
p. 116
堂姐(いとこ)
→年上の女性のいとこ
第二部
第2章
p. 133
無理むっちゃく
→「無理やり」の土佐弁らしい(訳者が方言だと思わずにつかった可能性?)
p. 134
掩いかくし
→おおいかくし
p. 137
綾おりの緞子
→模様を織り出した厚手の高級な絹織物、の意か
「綾織」は①模様を織り出した美しい絹織物、②経糸を2本もしくは3本浮かせ、1本をくぐらせる組織を一巡りとする織りで、平織・繻子織と並んで三原組織の一つ。
「緞子」は繻子地に繻子の裏組織で文様を織り出した、厚みと光沢のある高級な絹織物。日本では平織や綾織の名物裂(鎌倉時代から江戸時代初期にかけて、主として中国 (宋、元) から渡来した高級絹織物の総称。金襴、緞子 、錦,間道,印金など)を緞子と呼んだ例も多く、経糸と緯糸の色が違う高級織物の総称として当時の高級織物である「緞子」の名がつかわれていた可能性がある。
なんど
→納戸色(藍染めの一つで、緑色を帯びた深い青色)のことか
もみ
→紅絹。ウコンとベニバナで緋紅色に染めた絹織物。おもに女物着物の裏地(特に胴裏や袖裏)のほか襦袢、袱紗に用いる。
p. 139
「去るに臨んで秋波那ぞ一転する」
→元の王実甫による雑劇『西廂記』の一節「怎当他臨去秋波那一転 休道是小生 便是鉄石人也意惹情牽」からか。
「臨去秋波」で熟語として成立しており、秋の澄んだ水の波の意で、明るい美しい目の比喩、また別れ際の愛情のこもったまなざしのこと(日本語でつかうときの「秋波」とはちょっと意味合いが違う)。
第3章
p. 145
年寄りの冷や水
→老人が若者のように元気にふるまったり、年齢にふさわしくない無理をすることのたとえ。年寄りが若いものの真似をし、冷えた水(または湯冷ましではない水。なお「冷や水」は冷たい水に砂糖や白玉を入れた江戸期から明治にかけての嗜好品で、これを指した可能性も)を飲んで腹をこわすことからとも、老人が冷水を浴びることの意とも。
p. 146
難を知って進むであるべきで、難を畏れて縮まるであってはいかん
→「知難而進」は「困難であると知りながら前進する」という意味の成句で、対義語は「知難而退(困難であると知って退しりぞく)」。本文中の「畏れて縮まる」は「畏縮不前(臆病で前進するのを恐れること)」からか。
酢がめ〔やきもちやき〕
→醋壇子、あるいは醋罐子
嫉妬することを「吃醋(酢を飲む)」あるいは「吃干醋(酢を飲みほす)」といい、やきもちやきのことを「醋壇子」「醋罐子」(酢を入れる壷)という。恐妻家で知られる唐の宰相・房玄齢の妻が、夫に美女を下賜されるか、さもなくば毒酒を飲めと皇帝に命じられて迷わず毒酒を飲みほしたが、この毒酒は酢とすりかえられていたという故事から。
p. 147
妻なる者は斉なり
→出典はなく、ただの地口か?
「妻」の発音はqī(第一声)、「斉」の発音はqí(第二声)。
第4章
p. 152
外甥(おい)
→がいせい。姉妹の息子(兄弟の息子は「姪子」、姉妹の娘は「外甥女」、兄弟の娘は「姪女」)。
p. 154
善本
→ぜんぽん。①内容のよい本。また、校訂・注釈などが行き届いている本。②本文などに欠脱のない本。特に、書誌学で、本文の系統が古く著者の原本に近い本。保存がよく、本文に信頼性のある写本や版本。
「孤本」と列挙されていることから、ここでは②の意味か。
孤本
→こほん。ただ一つだけ伝わった本。その本文内容を伝える唯一の伝存本。
公家(おかみ)
→(個人と区別して政府・企業・団体などを指し)お上、公。対義語は「私人」。
「重賞のもと、必ず勇夫有り」
→重賞之下、必有勇夫。
重い褒賞のもとには、リスクを恐れない勇敢な男が必ず現れるということ。古代の兵法書『黄石公三略』(周の太公望の遺著とも漢の張良が黄石公から授けられたともいうが、後世の作)の故事による。
帙
→ちつ。唐本、和本を保存するためのおおい。厚紙に布を張り、書物の形に応じて折り曲げ、爪、紐などで留める。文巻(ふまき)。文包(ふみづつみ)。
p. 156
愚忠(ばかしょうじき)
→愚かで忠実なこと。馬鹿正直であること。愚直な忠誠心。君主に対する自身の誠意を謙遜していう言葉。
第5章
p. 164
意馬心猿
→馬が走り回り、猿が騒ぎ立てるのを制しがたいところから、人の心が煩悩や情欲のために乱れるのをおさえがたいこと。仏語。
第6章
p. 165
令名
→よい評判。名声。令聞。
p. 166
「眉をひそめて盲者に見せる」
→?
p. 172
「速やかならんと欲すれば達さず、速やかに成らんとすれば成らず」
→前半は『論語』の一節「欲速則不達」で、「急がば回れ」という意味の故事成語。後半は対句的に書かれただけで出典はなし?
第7章
p. 177
『死人の太陽穴(おでこ)』
→?
「太陽穴」は(おでこではなく)こめかみからやや目じり寄りにあるツボ。
第8章
p. 184
香山
→こうざん。北京北西にある景勝地で、特に紅葉が名高い。「鬼見愁」は主峰である香炉峰の別名で、途中の山道が険しく「鬼も困る」ことからついた。
p. 191
提綱
→ていこう。物事の根本法則となるものを提起すること。主要点をとり出すこと。また、そのもの。
第9章
p. 193
頤和園
→いわえん。北京最大の皇家園林(皇帝とその一族の庭園)で、万寿山と昆明湖(どちらも人工物)が特徴。
茶の葉玉子
→茶葉蛋
ゆで玉子の殻にひびを入れてから茶葉や醤油、香辛料などとともに煮込んだもの。家庭料理でのごちそうの一つ。
p. 199
桜桃溝
→鄭州市の観光名所
第10章
p. 204
「バカとつんぼのまねができなきゃ舅姑はつとまらぬ」
→不痴不聾、難作阿家阿翁。
「知らん顔ができないと家長はつとまらない」という意のことわざ。
第11章
p. 214
買弁
→清朝末期の1800年代から1940年代にかけて、欧米列強(銀行や商社)の対中進出や貿易を支援した中国人商人。転じて、外国資本に追随し、自国の利益を損なうような行為や人物のこと。
書香(之家)
→清末~中華人民共和国成立以前の旧社会の言葉で、先祖に読書人を持つ家柄。
世界中どこのからすもみんな同じに黒いんだわ!
→天下烏鴉一般黒
「どこの悪人も皆同じように悪い」という意のことわざ。
(※日本語のことわざ「どこの烏も黒さは変わらぬ」は、どこに行ってもそう目新しいものはなく、変わったことはないということ。また、どこの国でも人間の本性は同じだということ)
第12章
p. 225
まぬけの王八〔コキュ〕
→「王八」は忘八(「八徳を忘れた者」=恥知らず)とも。①俗語でカメ、スッポン。②(「王八蛋(=すっぽんの卵)」で)「妻を寝取られた男」を罵って言う語。③妓楼を経営する男。
「コキュ cocu」は「妻を寝取られた男」を意味するフランス語。コキューとも。
フランスマスク
→実在しない?
p. 227
為さざるにあらず、能くせざる也だ
→不為也、非不能也。
孟子『梁恵王』の一節。「物事を成就できないのは、できないのではなくやらないからである」。
第14章
p. 245
ma mie
→フランス語で「(女性を指して)わたしの愛しいひと、女ともだち」
第16章
p. 264
おっつかっつ
→差異が少なくほとんど程度が同じであるさま。
第17章
p. 267
迎春花
→黄梅
p. 271
丁丁喃喃
→喋々喃々(「喃喃」は小声でささやくさま。小声で親しげに話し合うさま、また、男女がむつまじく語り合うさま)の誤字か?
第18章
p. 278
河の水は井戸の水を犯さず
→井水不犯河水
互いに他人の領分を侵さない、また互いの邪魔をしないという意のことわざ。
p. 279
君子の交わりは淡きこと水の如し
→君子之交淡如水 小人之交甘如醴
『荘子』(外篇、山木)の一節「徳のある者の交際は水のように淡白だが、心のこもったもので長続きする、徳のない者の交際は甘くて利を離れないため、最初は甘酒のようだがやがて途絶えてしまう」。
p. 280
『人に知られたくなければ、自分がやらぬに限る』
→若要人不知、除非己莫為
「悪事は必ず露見する」という意のことわざ。
p. 281
『月盈つれば則ち虧く』
→『易経』の一節「日中則昃、月盈則食、天地盈虚、与時消息、而況於人乎? 況於鬼神乎?」(太陽は南中すれば傾き、月は満ちれば欠ける、天地の盛衰も、時とともにうつりかわる、ましてや人においてはどうか、鬼神においてはどうか)。あるいは『史記』笵雎蔡澤列伝の一節「語曰、日中則移、月満則虧。物盛則衰、天地之常数也」(古人が言うには、太陽は南中すれば移動し、月は満ちれば欠ける。ものごとが盛んになれば衰えるのは、世の中の常である)か。
p. 282
形影相い離れず
→『列子』説符篇に「形影相随」(心のありようが言動に現れてくること)があるが、「形影不離」(影と形のようによりそって離れないことを意味する成句)か。
豈有此理(けしからぬ)
→豈に此の理有らんや
冗談ではない。とんでもない。
p. 285
「相い敬うこと賓の如し」
→夫妻相敬如賓
『後漢書』逸民列伝の一節。夫婦が賓客に対するように互いに相手を尊重しあうこと。
第三部
第1章
p. 294
攻守同盟
→(軍事上の)攻守同盟。悪人がぐるになって互いにかばい合うことのたとえ。
第3章
p. 300
実事求是
→じつじきゅうぜ。清代の考証学派の標語。もとは『漢書』河間献王劉徳伝により、個別的事例について真実を追求するの意。これを宋~明代の主観的学風を排斥する旗印とし、ことに経書に即して客観的にその道理を考証する方針を示すものとした。
p. 306
抗米援朝運動
→朝鮮戦争(1950年6月-)の際、中国で全国的に展開された大衆運動。 運動が本格化したのは10月に中国人民志願軍が朝鮮戦争へ参加してから。志願軍への参加のほか、農工業生産の向上、寄付金や援助物資の供給、前線への慰問など、社会的経済的諸改革、および知識人・商工業者の思想改造と結びついて展開された。
『お月さんだって外国のがまるい』
→?
p. 309
准漢奸
→「漢奸(外国侵略者に通じる漢民族の裏切り者、売国奴)」に准ずる者、の意か。特に、日中戦争の時期に日本に通じたとされる「漢奸」は厳しい粛清の対象になった(らしい)。
第5章
p. 317
隠隠約約、かしこに伏兵有り
→?
「隠約」は①はっきりと見分けがたいこと。②言葉は簡単でも意味が奥深いこと。また、あからさまに表現しないこと。
p. 321
「死ぬほど恐れ、腹の底まで恨み」
→?
第6章
p. 325
『鶏は鶏づれ、狗は狗づれ』
→嫁鶏随鶏(かけいずいけい)、嫁狗随狗(かこうずいこう)。
鶏に嫁入りしたら鶏に従い、犬に嫁入りしたら犬に従う。女は嫁入りしたら夫のよしあしにかかわらず一生夫につきしたがうという意。
第7章
p. 333
『一発お見舞申し』て、この『水に落ちた犬』をぶん殴る
→打落水狗
水に落ちた犬を打つ。既に打ち負かされたがまだ降参していない悪人を、更に追い打ちをかけてやっつける。窮地に陥った者をさらにやりこめる。
p. 336
省城
→省の首都。省都。
p. 340
我何ぞ楽しみて与えざらん
→?
第8章
p. 345
文件
→(政府・政党・組織団体などが出す)文書、公文書、通達。(政治理論、時事政策、学術研究などに関する重要な)資料、文献、論文。
p. 350
『国家の興亡は匹夫も責有り』
『肉を食う者は之に謀る』
→清代の学者・顧炎武による『日知録』正始(巻十七)の一節「保国者、其君其臣、肉食者謀之。保天下者、匹夫之賤与有責焉耳矣。」より。これを梁啓超(1873-1929)が「天下興亡、匹夫有責。」と引用した(らしい)。
『民亦た労す、迄んど小休すべし』
→民亦労止 汔可小休
『詩経』(大雅、生民之什)に収録されている「民労」の一節(「迄」は誤植か)
小を謹しみ微を慎しむ
→慎小謹微
「些細なことに気を配る」という意の成句。
第9章
p. 358
夜郎自大
→夜郎、自らを大となす。
(『史記』西南夷伝の、中国西南の夜郎国が漢の強大さを知らずに自分の勢力を誇ったというところから) 自分の力量を知らないでいばること。
第10章
p. 362
肺腑の言
→嘘偽りのない心からの言葉
p. 363
「人 己れの為めにせずんば、天は誅し血は滅す」
→人不為己、天誅地滅。
「天誅地滅」は清末から中華人民共和国成立以前のいわゆる旧社会の言葉で、悪事をしないと誓う表現(もし○○するようなことがあれば、天地によって誅されてわが身をこの世に長らえはしないであろう)。(悪事をすれば)天地によって誅される。
第12章
p. 379
一をこれ甚しと為す、それ再びすること可ならんや
→一之謂甚、其可再乎。
『春秋左伝』(僖公五年)の一節
エピローグ
p. 386
陪客
→ばいかく。相伴する客人。陪賓。