らいおんの瓶の中

手紙を海に流すように、いろいろな感想とか。

手塚治虫『罪と罰』

角川文庫、1995

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表題作「罪と罰」について

※作品内容およびドストエフスキー罪と罰』のネタバレを含みます

 

各登場人物名といちばん基本の「青年が金貸しの老婆を殺し、最終的に自首する」という筋以外はだいたい何もかもドストエフスキー罪と罰』違っていてびっくりした……原作どおりだったら漫画にする必要もないわけだけど……。

わたしにとってはドストエフスキー罪と罰』でいちばん強く印象に残っているのがスヴィドリガイロフまわりのシーン(ドゥーニャとの最後のやりとりになるシーン~最期)なんですが、スヴィドリガイロフがいちばん違うキャラクターになっていた……スヴィドリガイロフを(原作に全く登場しない)革命家として造形した結果、『罪と罰』というより『レ・ミゼラブル』になってたような気がする。

 

しかし(社会主義革命がなされた、そして崩壊したロシアを舞台とする作品において)革命家をあれほど否定的に描くのは、漫画執筆当時の背景と関わるんだろうか。手塚治虫に全然詳しくないのでわからないですが。